やっぱり、好きだ。
 
 校門を潜り、腕に付けていた時計を見ると、10分はもう経過していた。

 「青山くん、まだ保健室にいるかな」

 駐輪所に自転車を止め、両手に紙袋を持ち、保健室へ急ぐ。

 保健室の扉を開くと、

 「何その荷物」

 青山くんがお茶を飲みながら寛いでいた。

 既にパソコンは閉じられ、仕事を終えた様子の青山くん。

 私が戻ってくるのを待っていてくれただろう青山くんが、私の手に持たれている紙袋に視線を落とした。

 「遅くなってすみませんでした。やっぱりみなさんにお礼がしたくて・・・これ、お菓子なんですけど、今日の飲み会に何人いるのか分からなくて・・・足りますか?? ゴホゴホ」

 流石アラサー。急に運動すると息は切れるし、むせる。
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