やっぱり、好きだ。

 「どこなんだろうねー。出処はー」

 『あははははー』と無駄に変な笑いをしながら誤魔化すと、さっきより強めに青山くんに視線を飛ばした。

 そんな私に『あははははー』と私の変な笑い方を真似しておどける青山くん。あんまり似てないし。

 「いっぱいあるから1個持って帰れば??」

 青山くんが紙袋からシュークリームを取り出し手渡した。

 「いいんですか?? 腹減ってたんですよー」

 嬉しそうに受け取る安田。スイーツ男子だな、この子。可愛い。

 「サヤ子先生も1個持ってけば??」

 青山くんが、安田の可愛さに目を細めていた私にもおすそ分けしてくれた。

 「すみません。じゃあ、頂きます」

  青山くんの言葉に甘えて、紙袋からエクレアを1つ取り出すと、

 「そっちも食いたいー」

 安田が、エクレアが持たれている私の右手に絡みついた。

 「・・・しょーがないなぁ」

 安田のあまりのかわいさにエクレアをあげた。つくづく、可愛いって得なんだなーと思う。私も甘いもの大好きだけれど、可愛い子の為ならしぶしぶどころか快く差し出せるもんな。

 「サヤ子センセ、半分・・・」

 安田が何か言いかけた時、

 「じゃあ、テスト問題も作り終わったし帰るか」

 青山くんが帰り支度をはじめたので、

 「そうですね。青山先生予定ありますもんね。急ぎましょう」

 私も自分の鞄を肩にかけ、『安田も帰ろう』と安田背中を押すと、3人で保健室を出た。
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