君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
「何、良い事って。」

背後から声がして、振り向くとコーヒーカップを片付けにきた藤原さんが、にこにこと笑いながら立っていた。
後ろ失礼します、と言いながら、私の背後にある食器棚に、藤原さんはスムーズに食器を片付けていく。

思えばこの一年間、藤原さんとは色々あった。
迷惑、なんて言葉では済まない程の事を、藤原さんにはしてきてしまった。
それでも藤原さんの私に対する態度は変わらない。
彼には感謝しても、したりないと思う。
ここでバイトが出来て良かったなぁと、しみじみ思った。
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