Oursecret
その会社には黒い霧が立ちこめていた。徒人(タダビト)には決して見えず、かなりの力を秘めた者でなければ見えない黒い霧。そしてそれが見えているということはその会社の中に死が迫っている人がいるということだ。俺はその霧の根源を調べることにした。



昼になると霧をまとった人が会社から出てきてあるレストランへ入っていった。


俺は伊織に確認してもらうためメールで呼び寄せた。すると約束通り来てくれた。



「あのさ…朝言ってた人ってあの人?」


「あっ…あの人だ!」


驚いた声を上げ指を差しながら教えてくれた。


(やっぱな。あいつは早いとこ片付けておこう。)


「コノヨニツドエシモノワレニチカラヲカシアヤツニマトワリツクアクヲハライタマエソシテニドトトリツカレヌヨウミマモリタマエオンギャロリカマスキャタカリファダシタン…」

すると、まとっていた霧がスーッと消えていく。俺は伊織に大丈夫だと声をかけ家に帰った。



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