ホームレスな御曹司…!?
何もない朝を迎えて広樹に見送られ、あたしはマンションを出た。


大通りに出てタクシーをつかまえて、そのままショップに向かう。


「あ、知香ちゃんおはよう!昨日はごめんなさいね、鍵渡すの忘れてて」


「いいえ、いいんです。おかげで見えたんです」


「ん?何が?」


「はい。店長さんが教えてくれた“素直な心”。あたしにも見えました」


「そう、思わぬ“鍵”だったわ、ね?」


「フフッ…。そうですね。“鍵”でした」


“鍵”


それはお店を閉めるためのモノじゃなく、あたしの心の引き出しをあける“鍵”。


広樹のくれた“鍵”。


“好き”という感情を解放してくれた“鍵”。


もう逃げたりしない。


もう反らさない。


あたしの気持ちは。


ここにあるたった1つの想い。
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