小さな幸せ
助手席に座って流れる風景をぼんやり眺める。

あたしの顔はきっと真っ赤な熟れ熟れのトマト

つい口に出しちゃったけど

これってあれでしょ

≪帰りたくない≫とか、

よくドラマであるシチュエ-ションだよね。


あたしは、純粋にもう少し話していたいなんて思っただけなんだけど…

大胆とか思われちゃった?


誘ってるとか思われちゃった?


チラリと横目で土方さんを見ると

ばっちり目があって

信号で止まっていた間じっとあたしの目を見る。


慌てて目をそらす

ウインカ-を出す音がして車が再び走り出す。


キュッ


ちいさな公園の横の駐車所に車を止めて

ふう----

ため息?


「あのさ、、」


意を決したように口を開いた、


「俺達付き合ってるんでいいんだよね?

 それとため口でいい?」


あたしの言葉も待たずに、


「いい?」

うろたえたあたしの上に影が落ちて来て

温かい唇が重ねられて、


ちゅ

小さな音をさせた。




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