深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「俺、結婚なんか考えたこともなかったなぁ。………環に会って、初めて守りたいって思ったから」
「…私も。こんな風に人並みの幸せなんて、手に入んないと思ってました」
ぽつりとつぶやいてしばらく抱き合っていると、直人さんの唇が近づいてきた。
そのまま舌を絡め深いキスを続けたかと思うと、静かな声でこう囁いたのだ。
「世界で一番幸せにしてやるからな」
愛してる、と続いた言葉に、私はもう頷くことしかできなくて。
「―――は、い…!」
そうやって眠りにつく私たちを、いつの間にか私の指から外れてケースに収まった指輪だけが見つめていて。
薄暗い部屋の明かりに反射したそれは、何よりも綺麗だった。