深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
「…今まで誕生日だからって特別なことしてこなかったんで。ユウさんに聞かれるまで忘れてたくらいですよ」
―――祝ってくれる人なんていなかったから。
だから、今まで誕生日だからってなにもしてこなかったんだ。
「だから特に何もいらないですよ?―――早くその書類処理してくださいね」
そう言うと私は苦笑いで再びパソコンに向かう。
そんな私の様子を見て、直人さんとユウさんは顔を見合わせて頷くのだった。
「………なんか欲しいもんとかねぇのか?」
その日の帰り、直人さんはハンドルを握りながらそう訊ねてきた。