深海の眠り姫 -no sleeping beauty-
―――欲しいものが、ないわけじゃないの。
小さい頃から憧れていた、人の温もり。
私を見てくれるまなざし。
直人さんは全部くれたじゃない。
目がくらむほどの安らぎを。幸せを。
…だから、もう何も要らないんだよ?
「ん、―――ぁ…」
「…キスだけでそんなとろけた顔して。やらしいな」
部屋の玄関でさっきのキスの続きをしている私たち。
潤んだ瞳で見上げると、直人さんは私の頬に手を添えてそうつぶやく。
ぺろりと自分の唇を舐める舌に妙な色気があって、その姿に私の身体がズクンと疼いた。