LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】

N//歩ちゃんの遺言




食後、父親と旅館のライトアップされた庭へと出た。

池の際にある石造りのベンチに座り、長閑に泳ぐ鯉を見つめる。



「歩美がもう長くないと、知って…成美はどう思った?」



「私、どうなるかな…って」



海斗さんと離されるのか。

芽と一緒に働けないのか。

1人を避けてるような、答えばかりが浮かぶ。



「パパと2・3年毎に、色々な街を見るのも、楽しいと思うんだけどな」



「そうだね…」



綺麗な街を見付ければ、気分は変わるかも知れない。

だけど私は、あの街で海斗さんや芽と過ごしたい。
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