LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
「無理、ですか…」



「いや、無理というか…実の娘が嫌がってるのに、出して良いのか」



「たった1人、残された娘さんの意見は、決定権がありますもんね…」



…“たった1人”…。

はっきりと言われ、顔を合わせたくなくて、控え室を出た。

会場に行くと、左側に私たちの席が3脚。

右側に、叔父たちの席が並んでる。



「んー……っ」



父親は、ずっと母親だけだと思ってた。

そりゃあ、恋をしない保証は、なかったけど。

参列者用の前列のパイプ椅子に座り、父親の遺影を真っ直ぐに見つめる。

ポコポコと、お腹を蹴った赤ちゃんたち。

励まされてる気がする。
< 468 / 538 >

この作品をシェア

pagetop