LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
あまりにデカイ音に驚きながらキッチンに走ると、成美がしゃがみ込んでいた。

足元に転がる鍋の蓋が、音の原因か。



「大丈夫か??」



まだ熱が籠る蓋をシンクへと入れ、成美を起こすと、頷くもどこかおかしい。

膝に感じる生暖かさ。



「――大丈夫じゃねぇよ!!」



成美を食器棚に凭れさせ、リビングのローテーブルに置いてた携帯で、119番。



「…妻が、下腹部から出血してるんです…。妊娠34週目です…はい」



「ごめんなさい…っ…」



お腹を擦り、泣いてる成美を抱き締めながら、救急車を待つ。

…頼む…。

持ち堪えてくれ…。
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