桜星サンセット
どのくらいの時間がたったのだろう、ふと思い出した。

「たかし君は?」

「あいつは虫」

「ムシ?」

「虫オタク。カブトムシとか探しに行ってる」

そういえば網と虫かご持ってたような。

「私虫見たーい。ちょっと行ってみる」

私が言うはずだった言葉を一瞬先にアンに言われた。

「だ、だめだよー」

「なんで?」

「暗いし」

「懐中電灯あるから大丈夫」

「でも・・・。私が探してくるから、とにかくアンはここにいて!」

うまい事言えない・・・。

「実は虫好きなんだ。気をつけるから」

これ以上引き止められない。

「うん・・・」

アンは闇の中へ消えていった。

「おい、今の何だよ。なんか変な事考えてるだろ?」

「別に、なにも」

「そんな訳ないだろ。俺の顔とアンの顔を交互に見といて」

「うそ?私が」

「そうだよ」

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