桜星サンセット
どこからかアンの声がしている。

少し離れているのだろう、内容までは分からないが、時折笑い声もして楽しそうだ。

「たかし君って同じクラスなんだっけ?」

「うん」

「虫オタクなんだよね?」

「そう、そう」

なんで友達なの?と聞こうとしてやめた。

それは失礼すぎる。

実際コウスケの友達なんだから。

「あいつ最初は変な奴って思ったんだけど、面白いんだよ一緒にいると」

「コウスケも虫好きなの?」

「いや、苦手。足がいっぱいあるのとか、最悪」

私も虫は考えただけで背筋がゾクッとする。

「うちのクラスにもオタクっぽい人いるけど、浮いてて友達とかいなそう。たかし君はそういうんじゃないの?」

「たかしも確かに浮いてるな」

その笑顔からたかし君が大事な友達だという事が分かった。

「たかし君ってどんな人?」

「たかしは、いつも同じ。どこででも誰にでも全然変わらない。たまにこいつ本当はすごい奴なんじゃないかって思う事がある。全然ブレなくて」

結局さっぱり分からない。

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