罪語りて所在の月を見る


Aに続き、残り二人もファインティグポーズをするわけだが、ずいぶんとなよなよに見えた。


殴れるだけで弱いんだろう。男子高校生の拳は否応なしに『力強い』となるからああも自信に満ちたしたり顔で挑むにせよ、格闘を学んでいない彼らはその実、中学生空手に組み伏せられるかもしれない。


もっとも、格闘家というものは短気な喧嘩で技を出すことはないそうだが。


「やめた方がいいですよ。僕に拳は届きませんし、あまりしつこく『傷つけよう』だなんて悪意を持って僕に挑むと――」


皆までは言わなかった。言ったところで信じられないならば、言わない方が未知となり相手に恐怖を植え付ける。


もともと『わたるん最強説』などと傷つけられないことが噂になっているのだ。百聞は一見にしかずとも、百聞も耳にすれば渉に何かしらの警戒を持っている。


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