罪語りて所在の月を見る


「う、ああぁぁっ!」


窮鼠猫を噛むとはよく言うが、追い詰められた鼠が恐怖により猫に歯向かうのはやはり狂気の沙汰だ。


何をしたことで敵いはしない、一矢報いるだなんてもってのほか、一か八かではなく、ただただ、『死にたくない』とした自棄であった。


死にたくないわりには、猫――いいや、噛めもしない獅子に挑む人間風情の自棄など。


「そんなに早死にしたいのか」


冬月から見れば、車に突っ込む自殺志願者と同じだった。


歯向かったA。Bもあとに続くように拳を振り上げたが、下げる前にまとめて一網打尽。たった一振り一回――しかも箒で相手を吹き飛ばす荒業。


もともと冬月は蜘蛛切りという刀を所持していたためか、長物の扱いは上手いもの。


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