今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。


「……何、された」



暁が目の前にゆっくりとしゃがみ、低い声でそう聞いてきた。



「……か、肩と、腕を触られて……」

「あとは」

「あ、あとは、大丈夫……」



大丈夫、と口にしながらも、さっき男にされたことを思い出し、私の身体は震えていた。



「心優、震えてる……。怖かったよね。ごめんね、心優……」

「沙良、お前は大丈夫なのかよ」

「私はとりあえず大丈夫。それより、心優ほんとに大丈夫?」



沙良ちゃんは私のことを心配して、ソファー席にゆっくりと座らせてくれた。



「飲み物、持ってきてほしいかも……」

「おっけー。今、持ってくるね」



私のわがままなお願いを引き受けてくれた沙良ちゃんは、私のコップを持って部屋を出て行った。



すると、暁が人ひとり分空けて私の隣に座ってきた。



何もしゃべらず、ただ隣に座ってるだけ。



……でも、それが不思議と居心地が良くて、身体の震えも気がつけば治まっていた。



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