今日から私、キケンでクールな彼に溺愛されます。
私が男性恐怖症なのを知ったから、気を使ってくれてるんだろう。
さっきも、私の隣に座る時に少し距離を開けてくれた。
「乗れそうにねぇなら、優馬くんか雅己くん呼ぶけど」
優馬はゆう兄の名前で、雅己はまー兄の名前。
そういえば、お兄ちゃんたちと知り合いっぽいことを暁は前に言ってた。
……さっきスマホをいじっていたのも、お兄ちゃんたちを呼ぶためだったのかもしれない。
お兄ちゃんたちに対して拒否反応が出たことはない。
だから、普通に考えて、お兄ちゃんたちに迎えにきてもらったほうが確実。
「大丈夫です……」
それなのに、私の口は勝手にそう動いていた。
この時……何で「大丈夫」と言ったのかは分からない。
あのトラウマになる出来事があってから、家族以外の男の人と、自分から距離を縮めたことも触れたこともなかった。
……何で、この人のことはもっと知りたいと思うんだろう。