梶山書店物語〈壱〉
「俺が、こんなに構ってる理由わかってんのか?」

グッと髪の毛を掴まれる。

「いっ!――…」

「…お前、俺が触っても平気なんだな」

気付かない振りをしていた。
自分でも驚いた。

「恐怖の方が勝ったのかな?」

「違うだろ…」

溜め息を吐きながら千尋くんは同じ視線に合わしてくる。

真っ直ぐな瞳で見てくる。
何を考えてるのか読み取れなくて視線を逸らす。

「まぁいいや。俺にとったら好都合」

フワッとワイシャツから漂ってくる―

匂いが鼻についた時には千尋くんの手を払い除けていた。




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