二人の王子さま
「何をしているんだ!」
バシっと勢い良く襖が開けられた。
部屋の入口を思わず見ると、
そこには遊馬さんが怒った表情でこちらを見ていた。
「・・・え?」
「あ~!ばれちゃった!」
あたしに覆い被さってきていた遊馬さんはそう言うと、起き上がった。
「・・・春・・・お前、帆香に何しようとしていた・・・?」
「え?だって帰ってきて遊馬様の部屋に挨拶を、と思ったらこんなに可愛い子が一人で寝てるんだもん。
遊馬様とどういう関係かな~?と思って!」
笑いながらそう言った、春と呼ばれたその人は、すっとあたしから退いた。
「え?え?遊馬さんが二人・・・?」
全く同じ顔をした二人を見比べる。
はぁ、と、溜め息をつく、襖を開けた方の遊馬さん。
「春は俺の家臣だ」
そう言う遊馬さんを呆然と見ていると、いつの間にかもう一人の遊馬さんは居なくなっていて、代わりにほんのり茶色に染まった髪をポニーテールっぽくした、目の大きい、可愛らしい感じの男の人が居た。
「ふふ、可愛かったよ。帆香♪」
その人はそう言うとまた、あたしの額にキスをした。
「春!!」