二人の王子さま
遊馬さんはあたしの腕をぐいっと引っ張り、春さんを叱った。



「ひどい遊馬様!せっかく遊馬様の探す本を買う旅から帰ってきたのに・・・
ご褒美に遊馬様を相手する女の子の一人や二人、触らせてくれたっていいじゃないですか・・・」


「ひとりやふたり・・・」

「春!誤解を招くようなことを言うな!
帆香は俺のちゃんとした恋人だ。父上にも会わせた」

あたしの呟きに遊馬さんは焦ったようにそう言う。


「へぇ!遊馬様に、ついにちゃんとした恋人が!」

意外そうにそう言う春さん。


「へぇ~♪遊馬様は美人が好みかと思ってましたよ。
それがこんなに可愛らしい子だとは。
俺の好みと被りますね・・・」


そう言うとあたしをまじまじと見つめる。

思わず遊馬さんの着物の袖を引っ張った。

「春、帆香が怖がっている」

「あ~ごめんね帆香。あまりにも可愛くてつい!」

爽やかにそんなこと言うから、あたしの顔はどんどん赤くなってしまう。





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