再会～初恋のやり直し～
恒例の報告会を市原家でやった夜、子供はゲームが途中だから、後で帰るという。春菜ちゃんと秋人くんと秋義くんが送ってきてくれるというので、
先に帰ることとした。

家に帰ってみると、旦那がひとりで夕飯を食べていた。非常に機嫌が悪い。

「こんな遅くまでどこで何してるんだ？」

「ごめんなさい。学校の保護者会の打合せで・・・」

「本当なのか？さっき、正輝の学校のお母さんって人が教えてくれた！その保護者会の会長っていうのは父子家庭の父親らしいじゃないか？その家に出入りしてるらしいな？お前は・・・。お母さん達の間では不倫してると噂があるらしいぞ。あまり軽率なことはするなよ！」

「不倫なんて！保護者会の打合せをしてるだけよ。」

と反論したが聞いていないようだ。これ以上、弁解する気もなくなった。毎晩遅くに女性の香水のにおいをプンプンさせながら帰ってくる夫に言われたくないと思った。

この時この間、保護者会のときに感じた他のお母さんからの冷たい視線は、この噂のせいだったんだと理解できた。

正輝が帰ってきた。玄関先で今の話を聞いていたようだ。春菜ちゃんたちも一緒だ。

「お母さんは、僕達のために一生懸命やってくれてるだけだよ。たまに帰ってきてえらそうなこと言うなよ。」

正樹が旦那に向かって泣きながら叫んだ。

「なんだとー！」

旦那の顔が真っ赤になった。

「マサ、言いすぎだよ！」

春菜ちゃんが正輝に言った後、旦那に向かって言った。

「おじさん、ごめんなさい。でも、マサのお母さんも、うちのお父さんも
学校のために一生懸命なだけだよ。私達がいつも一緒だもん。ただ周りでそういう噂になっているのは困りましたね。うちのお父さんにも相談してみます。」

春菜ちゃんの高校一年生とは思えない大人の対応でその場の騒ぎはおさまった。

・・・にしても誰だろう？そんな噂を流すのは・・・。






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表紙・目次

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