再会～初恋のやり直し～

数日後、私はかすみのお店にいた。

すっかり強くなったお酒を飲みながら、旦那の愚痴や子供の学校のことなんかをしゃべっている。かすみからの申し出で「浅野さん」はやめてくれとのことだったので「かすみ」「由香」と呼び合うことにした。

役員の仕事はそこそこにやっているが、前ほど縛られることなく気軽にやっている。そしたら他の保護者も手伝ってくれるようになりなんか役員も悪くないな～と思えるようになった。私も子供と同じように役員という肩書きに私自身が縛られていたのかもしれない。今日もママ友が３人くらい集まってお酒を飲みながら愚痴っている。

そこに市原さんがやってきた。早速ママ友の一人が絡んでいった。

「会長！もう、口うるさい父兄どうみかしてよ。うちの子が、ぶったぶたないって、すごい剣幕で怒鳴り込んでくるんだよ！子供のけんかに親が口だすんじゃね～！」

完全酔っ払っている。主婦も結構ストレスがたまってるのだ。

「そういえば、市原さんと正輝ママって付き合ってるって噂あったよね。本当のとこどうなのよ？」

酔っ払った勢いでママとものひとりが聞いてくる。

「私は大好きだよ。市原君は私の初恋の相手だから。」

「初恋か～？なつかしいな～。」

「あのころは、なんでも叶うって思ってたな～。」

「無駄に傷ついたり、傷つけたりしてさ～。」

ママ友が口々に遠くを見つめて言っている。みんな乙女の目をしてる。みんなそういう経験してるんだ？そうして今の人生があるんだね？私はつい最近経験したばっかだけどね。

「市原さんも正輝ママのこと好きだったの？」

かすみが口を挟んだ。

「そうそう、男たちはみんな由香が好きなの。私とか愛とかはみんな彼女の被害者だよ。もちろん男達も振り回されてハイさよならって感じだけどね。由香にはまったく悪気はないから困ったもんだよ。由香はまさしく『悪女』だよ。」

「『悪女』はひどいよ～。」

と私は反論したが確かに酷い女だったな。何も知らないとは言え多くの人間を傷つけ振り回したな。

あの後、市原君と三好君にはお付き合いは出来ないとお断りし旦那のところに戻ることを告げた。もちろん旦那のエッチが一番良かったからとは言わなかった。２人のことを相談しているうちに旦那のすごさに気づいたと説明した。青春時代にありがちなエピソードだ。

「そうか。由香の選んだ相手にはやっぱり叶わなかったな。」