三毛猫レクイエム。

「ヒロ……ごめんなさい」

 あの優しい人は、きっと今傷ついている。
 あきのことを思って、自分を呪っている。
 ヒロはそんな人だ。

「……ごめんなさい」

 ヒロのことが、好きだから。
 ヒロのおかげで、笑顔を取り戻せたから。

 そんな優しいヒロをこれ以上傷つけるわけにはいかない。
 私と一緒にいれば、ヒロまで傷つけてしまう。


 私は、今度こそ、ヒロと二度と会わないことを決めた。
















< 109 / 130 >

この作品をシェア

pagetop