三毛猫レクイエム。

「……Dear M?」

 最愛のMへ、で始まるその字は、紛れもなくあきのものだった。

「真子さんがいないときに、書いてたらしい。俺に渡したのは、他のメンバーにも見せたかったからだと思う。でも、これは俺が持ってるより、真子さんが持ってる方が良いと思って」

 私は、震える手でその字をなぞった。
 何度も見た、最愛の人の文字。

「とにかく、読んでみて」

 私は、再び最愛の人の筆跡をたどった。


 最愛のMへ

 君の涙は枯れただろうか
 君は笑顔を取り戻しただろうか
 いつまでも笑っていて欲しい
 俺の最愛のマリア

 君を想うと胸が痛む
 君を求めてやまない俺の魂
 引き裂かれそうな痛みにも
 俺は君を想うのをやめない

 一度は残酷だと呪った運命だが
 今はそうは思わない
 君と出会えたことがまさに
 運命だったのだから

 君はマリア、俺の最愛の人

 俺は君をおいていくが
 どうか忘れないでいて
 俺が君を愛したことを
 君が俺を愛したことを
 心の隅において、そして笑っていて欲しい

 涙が枯れたとき
 それは前に進むとき
 俺は君を捕らえはしない
 大空へ羽ばたいて

 二つの翼で羽ばたいて
 そして明星にその笑顔を見せてくれ


 読み終わると同時に、一筋の涙がこぼれた。
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