三毛猫レクイエム。

「真子?」
「え……っ?」

 私を見るあきの深い緑の瞳を見た瞬間、私の目から涙がこぼれた。それを見たあきが悲しそうな顔をした。

「ごめんな、真子」

 切ない声で、謝られた瞬間、私はあきに飛びついた。

「あき……っ」

 昨日帰ってから、白血病についてたくさん調べた。症状や治療法、それで治る病気だということはわかったけど、難しい病気であることは違いないし、何人も亡くなっているのも事実だ。
 化学療法で使う抗癌剤の副作用、抵抗力の低下から食べられなくなるものも多数、そうして、酷い痛みを伴う治療。
 治る病気だけれど、完全に治る病気ではないということもわかった。治療には長い時間がかかり、きちんと向き合っていかなくちゃいけない病気だということも。

「今日は、二人きりの時間過ごそうな。治療始まったら、できなくなることがたくさんあるから」
「……うんっ」

 これから本格的に治療が始まったら、私達はまともに会うこともできなくなる。最低でも一年は、治療に専念することになるあき。

「真子、愛してる」
「……っ」

 愛する人の、思いも寄らない病に、私の心は動揺していた。
 あきは、動揺する私をいつもと同じように包み込んでくれる。その腕に抱かれながら、私はあふれ出る涙を止められなかった。


 あきはおばさんに付き添われて病院に向かった。最初は付き添いはいいと断ったらしいのだけど、険しい顔のおばさんが一人で行くことを許さなかった。

 あきが部屋からいなくなって、私はこの空虚な気持ちを紛らわせるために、掃除を始めた。
 そして、ソファを掃除しているときに、私はくしゃくしゃに丸められた紙切れを見つけた。
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