三毛猫レクイエム。
病室を後にして、病院の玄関を出たとき、門のところで明菜ちゃんを見つけた。あきが入院してから、今まで一度もお見舞いに行っていない明菜ちゃんは、難しい顔で病院を睨みつけて、その場から動こうとしない。
「明菜ちゃん?」
「ま、真子姉!」
話しかけると、明菜ちゃんは物凄く驚いたようだった。
「どうしたの? お見舞いの時間は終わっちゃったよ」
「え……あ……」
困ったように私を見る明菜ちゃん。私は微笑んで、
「近くのファミレスでも行こうか。奢ってあげる」
「でも……」
「いいから」
私は明菜ちゃんの手を引いて、近くのファミレスへと入った。
「遠慮してたら勝手に決めちゃうよ。何食べたい?」
「……それじゃあ、オムライスセット」
私は早速注文をして、明菜ちゃんと向き合う。
「今日は、どうしたの?」
明菜ちゃんがあきのお見舞いに行かない理由は、なんとなく想像がついていた。
「……病院怖くて……。でも、お兄ちゃんに会いたいの」
あきが、明菜ちゃんは病院に来ないだろうって言っていたけど、それは明菜ちゃんが持つ特別な目のせいだろう。人には見えないものが視えてしまう明菜ちゃん。きっと病院はそんな明菜ちゃんにとって辛い場所なのだろう。
「明菜ちゃん……」
「本当は、外泊許可が下りるかもしれないっていうから、我慢してたの。でも、お母さんが、許可が下りなかったって言ってたから……」
あきのことが大好きな明菜ちゃん。きっと、辛い思いをしているのは明菜ちゃんも同じで、あきも明菜ちゃんに会いたいと思っているはずだ。