隣の席のオオカミ!【完】
「──じゃあ、俺、帰るわ」

「ああ。気ィつけて、帰れよ」

「おう」

葉山君の家に着くなり、稲田君はさっさと帰ってしまった。


私たちは、稲田君の後ろ姿を見つめていた。


「嵐のように帰りやがって……」

「はは……」

嵐って。

そんなにヒドい被害があったの?


「ったく。未央とゆっくりできなかったじゃねェか」

「え?」

葉山君を見ると、キスされた。

しかも、いきなり激しいキスで。


「ダ、ダメ……だよ。ここ、外……」

「じゃあ、部屋ならいーのかよ?」

私は顔を赤らめながら、うなずいた。


「……覚悟しろよな」

葉山君は、耳元でそうささやいた。
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