エトセトラエトセトラ
「昨日家に帰ってから色々試してみたのよ。間違いないわ」
彼女の顔は確信に溢れていた。
少し考えてから僕は彼女の両手に包まれている落下タイマーを見て、
「少し見せてくれない?」
「これ? ええ、いいわよ」
僕もやっと落下タイマーに興味を示したと思ったのか、彼女は嬉しそうに僕の手に時計を乗せてくれた。
落下タイマーの針は、あと一分で真上を指そうかというところまで来ていた。僕はじろじろとあらゆる方向から落下タイマーを見た。こんな時計に本当にそんな突拍子もない能力があるのかと思うと疑わしかった。得体の知れない恐怖すら感じる。
「昨日から随分針が進んでいるけれど、どうやったの?」
問うと、彼女は嬉しそうに顔をほころばせた。
「マグカップを落とし続けたのよ。落下一回につき一分、針は動いたわ」
そうすると彼女は昨日五十回近くマグカップを落とし続けたと言うことになる。
「あと一回で真上を指しそうなのに、それはしなかったの?」
「あなたと一緒に、何が起こるのかを見たかったのよ」
にっこりと、それそれは可愛らしく彼女は微笑んだ。
僕は不覚にも胸がきゅう、とときめいたのを感じた。