エトセトラエトセトラ
衝動がどうにも抑えられずに彼女にちゅ、と軽いキスをして、さっと時計に視線を戻す。
「なに?」
彼女がきょとんとして聞いた。
「なんでもないよ」
彼女への愛しさを再確認してから、それに比例するように手の中の時計への猜疑心が膨れ上がっていた。
彼女を危険な目に合わせるわけにはいかない。何が起こるのかも分からないこんな得体の知れない時計なんて処分した方がいいに決まってる。
彼女がどれだけ落下タイマーの正体を知りたくても、だ。
「これ、僕がもらったらだめ?」
なるべく何気ない響きに聞こえるようにして聞いた。
しかし彼女は途端に目を丸くして僕から時計を奪い去った。
「だめよ。これは私のだもの。これから最後の針を動かして、何が起こるのかを一緒に見るの」
とんでもないとばかりに拒否した彼女に少しむっとして、僕は反論した。
「もし危険なことが起こったらどうするの。得体の知れないそんな時計なんて捨てちゃった方がいいんだよ」
僕のその言葉に、彼女は驚愕の表情を見せた。