エトセトラエトセトラ



僕が何も言わずに紅い瞳をじっと見つめていると、しばらくの後、彼女はくすっと笑って体を起こし、ベッドに勢いよく体を埋めた。スプリングがぎしっと小さな悲鳴を上げる。


「あー怖い怖い」

とてもそうは思っていないだろう声色で(むしろ楽しそうに)、彼女はそう言った。


「……きずがいたい」

少しだけ不快の意を滲ませながら呟く。
いくら彼女が血を吸うのが上手くても、その直後は意識がはっきりしないし首筋の傷口も多少は痛む。


「どれどれ、舐めてあげよう」

むくりと起き上がり僕に近付く彼女。その気配を感じて僕は顔を振り向かせ、彼女にそっと口づけた。





< 6 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop