幼なじみじゃイヤなんだ。 Before
顔が赤くなっていくのを隠す様に桜から目を逸らせる。





「うん分かった。みんなに言っとく。じゃあ俺、下に行ってるから……」





顔を見られるのが恥ずかしくてすぐに部屋を出ようとした。



まともに桜の顔も見れないまま、テーブルに手をついて立ち上がろうとした瞬間。

手首が温かい何かに掴まれて立ち上がれなくなった。



びっくりして、自分の手首を見る。

桜の手が俺の手首をしっかりと握っていた。




桜は未だにテーブルの上にごろんと伏せたまま、俺の手首を掴み、こっちを見つめている。




なに?

なんなんだ?



動揺する胸を押さえるのに必死だった。



桜が重そうな口を開く……。





「ながるも、いっしょに……」


「へっ!?」




間の抜けた声が出た。





「いっしょに、ねよう……」


「うわっ!?」




桜はとんでもない事を言い放った瞬間、俺の手首を握っていた手に力を入れ、それをバネにして頭を起こし、俺の首に腕を回して抱きついて来た。



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