幼なじみじゃイヤなんだ。 Before
「…………いの」


「ん?もう一回言って、桜。」


「あのね……」


「うん?」


「……流瑠といっしょがいいの」




ドキッとした。




「う、うん」


「……制服も、」


「うん」


「……がっこう行くのも……おべんとうたべるのも」


「……」


「……ぜんぶ、いっしょがいいの」




赤いだろう顔が、さらに熱を持つ。

桜───




「……いつも、いっしょじゃないとさびしい……」


「うん」


「……いや?」


「嫌な訳ないだろ」


「……うん……」


「桜……」





ダメだ、

俺も桜をギュッとしたい。


抱きしめたい。



宙をさまよった手を握り締めて、ぐっと堪えた。

でも……、




「……ながる」

「ん?」

「だいすき……」





俺の歯止めが完全に外れた。
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