泡沫眼角-ウタカタメカド-
悪態をついて一目散に出口を目指して走り出す炯斗。
「このクソガキ!! 待ちやがれ!!!!」
後ろからかけられる怒鳴り声の言うことなど逃げる子供が聞くはずもなく、後ろ向きにもう一度あっかんべーとしてやろうとした時だ。
バフッという重くも軽くもある衝撃にバランスを崩す。
「お、わぁっ!!」
転ぶ――。
顔面からの落下を防ぐべく体を捻った真上に見えたのは、意外にも同年代の少年だった。
「おいっ!!」
間一髪。その少年が寸でのところで炯斗の片腕を取り、炯斗は反対の腕を地面につく形で転がるのを防いだ。
「大丈夫か? てか、誰お前?」
掴んでもらった腕を支点に引っ張りあげてもらう炯斗。
立ってしっかり見ると、少年は炯斗よりもいくつか年上のようだった。
「え、俺は炯斗!! 隣の家の!」
「ちょっと前に引っ越してきたとこの」
「もうここきて一年なるけどな? 兄ちゃんは?」
砂を叩き落として、彼と向き直る。
彼は驚いたように目をみはってから、ブッと吹き出した。
炯斗はもはや、ここが何処だかも忘れているらしい。
遠くから越してきた訳でもない炯斗たちの親の間では、ここはとても有名だと言うのにも関わらず。
「オレは奏。ここの家の狭間奏ってんだ」
これが炯斗と奏の出会いだった―――。
「」