泡沫眼角-ウタカタメカド-
その出会いから、炯斗は知った。
今まで他の親たちが何となく避けていた狭間の家というのが、所謂ヤクザの家であることと、家はどうあれ、奏は炯斗にとって素晴らしい友人になったということだ。

彼に他人と違うところがあるとすれば高いプライドくらいのもので、それも酷く侮辱されない限りは手出しはしない。

手を出した時には、圧倒的な強さの暴力という報復が待っていたが、炯斗のとりなしや持ち前の軽い性格で中和されてそれが披露されることはほとんどなかった。

奏の中には他人と一線を画す部分は、確かにあった。
その強さに炯斗は憧れたから、彼について回ったのだろう。


炯斗が誰かと喧嘩をすれば、助けてくれた。
素行はともかく、勉強面でしっかりしていた奏に助けてもらうことはよくあった。
もちろん、二人で喧嘩もした。
殴り合いになれば当然のように炯斗は負けた。



一人っ子の炯斗からすれば、間違いなく奏は兄という絶対的な存在だった。


いつだったか、騙されて酒を飲まされたことがあったが、奏は兄弟の盃だと言って笑った。

それは、奏も炯斗を弟と思うことだという証明に思えて炯斗にはとてもとても、嬉しかったことだった。




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