泡沫眼角-ウタカタメカド-
一通りの思考を終えて炯斗は目の前に佇むファントムをまっすぐに見つめた。
精神世界で風も暑さもなく、静けさに身を任せるようにファントムはじっと炯斗の答えを待っている。
そんな沈黙を破るように、明るい声で炯斗は口を開いた。
「俺にとって、奏兄ちゃんは兄ちゃんだ」
僅かに目を瞠るファントム。
炯斗はファントムの思惑が、大体予想出来ていた。
だからこそ、普段誰かに奏を紹介する時と変わらない態度でにかっと笑って言う。
「危ない世界に身を置いていて、俺とは全く別の物を見て生きてきていようが、一緒に遊んで遊んで喧嘩した事実はなんも変わらねえ。それが変わらねえ限り奏兄ちゃんは俺の親友で、ちょっと他人に怖がられがちなお隣さんだ!」
『そうか……そう、か』
ファントムは嬉しさとも、悲しさともつかない複雑な表情をつくって、炯斗の言葉を受け止めようとしていた。
実際に生きて、すぐ近くで時間を過ごしてきた男がいう言葉だけに、これからファントムが抱えている疑念を炯斗に伝えることが激しく躊躇われる。
──どうやって言ったものか……
しかしファントムの迷いをよそに、炯斗は真面目な声色で切り出した。
「俺はなんでこんなことに巻き込まれてるのか、それをずっと考えてきた」
もう一度炯斗に向けられたファントムの顔をじっと睨み返す。
「俺の知らないところで何かが起きて、その罪を俺が着せられそうになってる。火のない所に煙は立たぬって言葉があるみたいに、それには原因があるはずだ。
ファントム、てめえ何かやっただろ」