永遠の愛

寄り添う心


後、少しで終電がなくなっちゃうと言う時間。

真っ暗な暗闇に辿り着いた場所であたしは空を見上げた。


辛うじて少しだけ見える星。

まばらに散っている星が悲しそうに見えたのは気の所為だろうか。


耳にスッと溶け込んで入ってくる波の音。

そして潮の香り。

ただ、思い付いた場所が海だった。


電車で来たのは初めてで、正直何時間掛ってここに辿りついたのかも分らなかった。


でも、ここに来たら落ち着くって、そう思ったからあたしの足がここへ向かってた。


もう帰る電車すらない。

帰るのは始発の電車を待つだけ。


足を進めて辿りついた場所はいつもと変わらない場所。

必ず来た時はここの階段で座ってたっけ。


でも、今は一人。

一人で来た海は落ち着くと言うか寂しく感じた。


抱えていたバッグを隣に置き、腰を下ろす。

4月と言うけれどまだまだ寒さは増し肌を震わせる。


バッグの中に詰め込んでいた服の中から黒のパーカーを取り出し腕を通し、抱えていた膝の上に額をくっつけた。







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