嘘つきヴァンパイア様
「そう、なんだ。人間は人間にしかなれないの?天界の住人になる事はないの?」
「ございません。神と人間は、別のものですので」
二度目の説明で少し理解でき頷きながら相変わらずの無表情のレシィを見る。
「あの、なんか…それが事実なら人間が思っていたこととは全く違うんですね。それに、ヴァンパイアとか架空の存在かと思っていました」
「事実ならではなく事実です。人間にその存在を信じてもらう必要などないので」
「………」
なんて冷たい言い方なんだろうか。話かたもそうだが、その表情がなにより冷たく感じてしまう。
視線を落とし、言ってもいいものかと一瞬悩む。無表情の顔で睨まれないか、舌打ちなどされたらもの凄く傷つく。
だが、言ってみるにこしたことはない。
「あの、レシィ?」
「はい。涼子様」
「あなたはとても美人なのだから…もう少し笑ったほうが素敵だと思うな。それに、これからお世話になるわけだし…同じ女性として仲良くなりたいし…」
「は?」
涼子の発言にレシィは数秒固まった。
やはり、言わないほうが良かったかも。なんて、思ったのもつかの間だった。無表情だった顔が見る見るうちに歪められる。
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