嘘つきヴァンパイア様



「わかって頂けたのなら幸いです。こちらこそ、よろしくお願い致します」


「うん。そうだ!話は変わるんだけど今って何時なの?この部屋時計なくて…わからなくてさ」


目が覚めた時、外は真っ暗だった。



それを夜だと思ったが、レシィの長い話が終わった現在も月は昇ったまま。太陽も見えないし、明るくもならないことが不思議だったのだ。


まさか、冥界という世界には時間軸と言うものが存在しないのかも。


涼子の問いにレシィは数秒視線を外にむけ、再び戻す。


「涼子様の世界の時間軸で言いますと、凡そ朝の9時頃になります」


「へぇ〜。朝の9時くらいか…私ってば、そんなに眠っていた…って、え…朝の…く、9時?!」


声を荒げて驚くが、レシィは表情を崩さず答える。


「はい。なにか問題でも?」

「あ、あり過ぎです!」


思ってもいなかった回答に涼子はレシィに詰め寄りオレンジに輝く月を指さした。


「と、言うか!それおかしくない?だって、月がまだあるじゃない!」


夜にこんな堂々と月が空にあるわけがない。


あったとしても、このように外が暗いはずもない。


太陽があるはず。


レシィに言うと彼女は涼子から一歩避けるよう離れる。

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