嘘つきヴァンパイア様


「ちょっ、呉羽?」

「煩いことを言うな。自分の花嫁を抱きしめちゃいけないのかよ」


「良い、悪いではなく場所の問題です。他人の前でなど、如何わしいです。呉羽様」


クイッとフレームを押し上げ切れ長の目で呉羽と涼子を睨みつけるように見る。


威圧的とは少し違う、獲物を捕らえた蛇のような瞳。

(誰?この人…いや、この神様は)


先ほど感じた恐怖とは違い、薄い唇から鋭い毒牙が現れ、噛み付かれて毒を身体に流し込み抵抗できない獲物を丸ごと食べる。


そんな生々しい映像が頭に浮かび一歩下がれば呉羽は苦笑いし逃げる涼子を再び抱く。


「ほら、お前がそんな顔で睨むから、涼子が怖がっているだろ」


「何をおっしゃいますか。睨んでなど、いません。もとからこのような顔なだけです」


「悪いですか」と返された言葉を呉羽は完全に無視をして「別に」とつぶやきながら指さす。


「涼子、紹介するよ。この男はユノフィール、長いからユノって呼んでいい。ちなみに俺の御付き」






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