嘘つきヴァンパイア様
「くれ…は…苦しいっ…ってば」
息を整えながらうつ向くと、呉羽は再び顎を掴み、涼子と視線を絡ませる。
「涼子…」
「…え?」
その瞳をみた、瞬間。涼子の脳内に映像が過った。
ベッドに押し倒され、そのまま呉羽に抱かれる映像が。
まるで、怪しい物をみているような映像に顔を林檎のように赤らめ、呉羽の胸元をおす。
「だめ…それは…だめ…」
涼子の言葉の意味が、分かったのか、呉羽は触れるだけのキスを落とした。
「もしかして、未来を見た?なら、分かると思うけど、俺のほうが、だめ。我慢するって言ったけど、キスしたら我慢出来なくなった」
「で、でも…記憶ないもん…わたし、初めてのような気がするから…」
呉羽は、何回もしたというが、やはり抱かれた記憶はない。
むしろ、初めてのような気がしてならない。
抱かれれば、懐かしいと感じるかはわからないが、今は少し怖いのが涼子の本心。
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