嘘つきヴァンパイア様


***

いまだに月が紅色に輝き、静寂が部屋をつつむ。


そんな空気の中、呉羽はベッドで深々と眠る涼子にシーツをかけた。

その顔はひどく、怖い。睨むような瞳で涼子を見つめるとギシッと音をたて立ち上がる。


乱れた着物を直し、長く美しい髪の毛を後ろに払った。


淡々と背後の涼子を振り替えることなくあるき、部屋を出る。


そこには、腕を組み壁に寄り掛かるユノの姿があった。


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