嘘つきヴァンパイア様


ひどく、仰天し瞼を何回も開閉しながら石像を見つめる。


(…石像が、しゃべった…?)


冥界の石像は話をするのか。まさかのことに、暫し黙れば石像は身体を涼子に向けた。


暗闇でも見えるその顔は美しい。


左目が金色の髪で隠れてはいるが、闇よりも暗いダークの瞳に、涼子は息を飲みながら頭を下げた。

「あ…いえ…」


(この方…石像ではなかったんだ。身動きひとつないから……。とっても、失礼な間違いをしちゃった)


悪いと思いつつ、小さな声で否定する涼子に彼は『左様でございますか』と、放ち姿勢をただした。


(この方は、神様かな?神様だよね。きっと。人間のはずはないから)


呉羽達以外の神様に会えたことが、少し嬉しい。同時に浮かび上がった好奇心に彼を見つめていれば、彼は視線を涼子に向けた。


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