嘘つきヴァンパイア様


そして、身体を涼子に向け、何故だか頭を深々と下げた。

「大変失礼いたしました」

「え…へ?」


(なぜ、謝るの?)

悪いことなどされていない。謝る彼の行動の意味がわからなく涼子の口から間抜けな声が出た。

「花嫁様とは、初対面にも関わらず、自己紹介をしていませんでしたので。気づかず、申し訳ありません。怒りをお沈めください」



(まさか、私がここにいたのを「こいつ、花嫁の私に挨拶もしないの?」と思っていたと思われた?)


とんでもない、勘違いだ。涼子はそのようなこと思ってない。


「お、怒ってませんよ。私は、ただ…あなたはどんな神様なのかなって…思っただけで…私の方こそ、凝視してしまいすみません」


涼子が頭を下げると、彼は意表を付かれたのか、少し目を大きく開いた。そして、「そうですか」と言う。



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