嘘つきヴァンパイア様


やはり、か。

王の花嫁なのだから、屋敷のものは皆知っているのだろう。

「ところで、涼子様はどうしてこのような場所にいらしたのでしょう。屋敷で唯一外に繋がる扉です。先ほどお聞きした際は否定致しましたが、お庭にご用意でもあったのでしょうか」


「あ、いえ。ただの探検です。色々と場所とか覚えたくて」


「でしたら、ここには何もございません。散策しても暇をもて余すものはないでしょう。部屋には鍵が掛かっているので入ることもできません。行かれるのなら、二階から行かれてはいかがでしょう。広い広間もございます」


涼子が降りてきた階段を指差すテュポン。促されるように二階を見つめた。


一階には何もないのか。もしかしたら、一階は歩き回ってもらいたくないから、言った言葉なのかもしれない。


だが、非常に丁寧なテュポンの好意を受け入れるように、彼女は『わかりました』と、うなずいた。


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