嘘つきヴァンパイア様
「……あ」
その絵画には、マロン色の長い髪をした男性。
背景は真っ暗で、その髪の色がとても目立った絵画。
白い薔薇を手にのせ、それを切なそうに見つめている。心なしか、その顔は呉羽に似ている気がした。
過去の、冥界の王だろうか。人間界なら、歴代の王の絵画が飾られている場所がある。
そういうことなのかもしれない。
ただの、絵画。そう、ただの絵画のハズなのに涼子は目が離せなかった。
虜になるように、絵画に近づく。
(なんだろう。この気持ち…わたし、この神様を知っている気がする)
そんなわけないのに、涼子の疑問は収まることをしらない。
そのまま、好奇心のまま、絵画にふれ、彫られた文字をみる。
「始祖…ケイト…様?」
(ケイトって、どこかで聞いたことがある。どこだっけ…)
聞き覚えのある名前。そのことにも何か引っ掛かったが、それ以上に涼子はこの文字が読めたことにびっくりした。
無意識に口にしたが、その彫られた文字は日本語でも英語でもドイツ語でもない。
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