嘘つきヴァンパイア様


『さらばだ…カトレア』


(待って…)








「待って……!!」



カバッと布団を蹴る音が響き、バサッとその布団が床に無惨におち、広がった。


身体を勢いよく、起こした涼子は既に夢の中ではなく、寝泊まりをしている部屋にいた。


呼吸が乱れていて、首筋から数摘の汗が流れる。

窓から見える月の色は禍々しい紅色。


「…ゆ……め?」


また、あの夢を見てしまった。あの夢で、こんなにも目覚めの悪いことは初めてだ。涼子は少
し緊張感を整えるため息を飲み込み、落ち着いたころ、周囲を見渡した。


そして、思う。


(わたし、どうして、この、部屋にいるんだろう)


確か、呉羽と別れ、屋敷内を探検した。そのとき、門番のテュポンとドナにあい「探検なら、二階がいい」と、言われた。それから、二階に移動し、中央ホールにたどり着いて玉座をみた。


その時に、絵画をみつけて…。その先の記憶が涼子は思い出せなかった。


激しい頭痛に襲われた記憶はあったが、戻ってきた経緯はよくわからない。


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