嘘つきヴァンパイア様
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「おま…たせ」
渋ったあと、こそっとドアを開ければ、そこに呉羽はまだいた。
ソファーに座り込み、分厚い本を手に、視線をあげドアの先にいる涼子を見つめる。
その瞳に、彼女の胸はドキッと高鳴った。
「遅かったな。随分と長い風呂だ。倒れていないか、心配した」
お風呂事態は長くない、レシィとのやり取りに時間を取られただけだ。
だが、そのようなことは言えなく愛想笑いを浮かべると、呉羽は頭を傾げ本をバンッととじる。
「てか、いつまで、そこにいるんだ。早く入ってこい」
「あ…う、ん」
(入りたいのは、やまやまなんだけど…)
覚悟を決めてもやはり恥ずかしく、脚をもじもじさせる。
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