嘘つきヴァンパイア様


***

「おま…たせ」


渋ったあと、こそっとドアを開ければ、そこに呉羽はまだいた。


ソファーに座り込み、分厚い本を手に、視線をあげドアの先にいる涼子を見つめる。


その瞳に、彼女の胸はドキッと高鳴った。

「遅かったな。随分と長い風呂だ。倒れていないか、心配した」


お風呂事態は長くない、レシィとのやり取りに時間を取られただけだ。

だが、そのようなことは言えなく愛想笑いを浮かべると、呉羽は頭を傾げ本をバンッととじる。


「てか、いつまで、そこにいるんだ。早く入ってこい」

「あ…う、ん」

(入りたいのは、やまやまなんだけど…)



覚悟を決めてもやはり恥ずかしく、脚をもじもじさせる。

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