嘘つきヴァンパイア様
そんな涼子を耐え兼ね、呉羽はソファーから立ち上がった。
「なに、顔赤くしてるんだ?」
「し、してないよ…別に」
「なら、早くしろ」
「う、ん…あの、笑わないでね…」
(恥ずかしいけれど、似合わないと笑われなかったら、それでいい。似合ってる、なんてお世辞で言われなくても)
ゴクリと息を飲み込み、高いヒールの靴で、緊張しながら部屋に入る。
すると、彼女の格好をみた呉羽は意表を突かれたように黙りこみ、脚の先から頭の天辺まで視線を動かした。
痛いほど感じ呉羽の視線に涼子はきょろきょろしながら、彼を見つめる。
呆然と黙ったまま、みつめ、呉羽は腕を組ながら顎に手をおいた。
「涼子、似合うな。それ」
「…え?」
「いや、思ったより、綺麗だ」
何を言われたのか、いまいち理解出来ないでいると、近付いてきた呉羽に腕を引かれそのまま抱き締められた。
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