嘘つきヴァンパイア様


「え……く、れは?」


「呉羽?じゃなくて、『えっ…ち』だろ?」


「……あ」


「それで、俺は『それは、お前だろ?昨日、乱れてたくせに』って」


さっきの映像と全く同じ会話に、涼子は口元を塞いだ。


「涼子の言う通り、その記憶は俺たちの記憶だ。あの日は夜の公園で2人して湖に落ちた時の」


やはり、と、彼女は思った。

「思い出したな、やっと」

「……うん。そこだけ、だけど」


「ばか。十分だよ」


肩を抱かれ、そのまま正面から抱き締められ力が抜けたように呉羽は噴水の壁に背中を預ける。


「服…濡れちゃうよ…呉羽」

「着替えれば、いいだろ」

「そう、だけど…綺麗な着物なんだから……」


そんなことを言いながらも、涼子に離れる気などさらさらない。身体は冷たいはずなのに、不思議と胸は温かかった。



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